産業用ロボットのメンテナンス:故障が近いことを示す5つのサイン
産業用ロボットの適切なメンテナンスは、自動化された生産環境における稼働継続と効率性を守るうえで不可欠です。多くの故障は、ある日突然発生するわけではありません。ロボットは本格的に停止する前に、しばしば**さまざまな“予兆”**を示しています。
こうした症状を早期に見抜くことができれば、計画外のダウンタイムや不要なコスト、品質トラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、ITS Techが考える、**「設備に早急なオーバーホールが必要であることを示す代表的な5つのサイン」**をご紹介します。
産業用ロボットに予防保全が必要な5つのサイン
1. 動きの精度が落ちてきた
ロボットの動きが、以前のようにスムーズではなくなっていませんか?
- わずかな「引っかかり」
- ビクつくような動作
- タクトタイムがじわじわと伸びている
こうした症状は多くの場合、
- 機械的な摩耗
- グリス不足や潤滑不良
- サーボモータの不具合
などが原因となっています。
予防保全による点検を行うことで、さらなるダメージを防ぎ、ロボット本来の動作効率を取り戻すことができます。
2. 異音の発生:メンテナンス不足の典型的サイン
ブーンという唸り音、異常な振動音、カチカチという打音…。いつもと違う音がロボットから聞こえ始めたら、内部に問題を抱えているサインかもしれません。
このような異音は、例えば次のような状態と関係していることが多いです。
- 劣化したベアリング
- 調整不良のギアボックス
- 緩んだボルト・部品(メンテナンス不足によるもの)
👉 音は、ロボットが技術的な点検を求めている最初のアラートと言えます。
3. 電力消費の増加
ロボットの消費電力が理由もなく増えているように感じたことはありませんか?
電力消費の増加は、しばしば次のような要因の結果です。
- 内部摩擦の増加
- 過度な機械的負荷
- 電動モータへの過大な負担
👉 このサインを早期に検知できれば、エネルギーコストの削減だけでなく、過熱や重大故障の回避にもつながります。
4. アラームや「小停止」が増えてきたときは要注意
最近、ロボットがいつもより頻繁にアラームを出したり、はっきりした原因がわからないまま**一瞬止まる(マイクロストップ)**ことが増えていませんか?
こうした断続的な停止は、「まだ動いてはいるが、どこかで限界に近づいている」ことを示すサインです。
この段階で技術的な介入を行えば、根本原因を特定し、システム全体の安定性を取り戻すことができます。
5. 結果精度・再現性の低下
ロボットの位置決め精度や繰り返し精度が落ちてくると、その誤差はそのまま最終製品の品質誤差として現れます。
- 寸法のばらつきが増えてきた
- 仕上がり位置が微妙にずれる
- 作業結果にムラや傾向が見られる
こうした場合、問題はセンサー、軸まわり、あるいは制御システムに潜んでいる可能性があります。
このタイミングでロボットのオーバーホールを行うことで、
- 返品やクレーム
- 手直し・リワーク
- サービス品質の低下
といった事態を未然に防ぐことができます。
なぜ産業用ロボットに予防保全が重要なのか?
国際ロボット連盟(IFR)によると、自動化は年々拡大しており、それに伴って適切なメンテナンスの重要性も高まっています。
予防保全は、現代の生産戦略における欠かせない要素です。単に故障を避けるだけでなく、
- ロボットへの投資を守る
- プロセス品質を維持する
- 操業の継続性を確保する
という意味を持ちます。
故障が発生してから対応する**事後保全(コレクティブメンテナンス)**とは異なり、**予防保全(プレベンティブメンテナンス)**は、
- 定期的な点検
- 技術的な調整
- 重要部品の事前交換
といった活動を通じて、トラブルが顕在化する前に手を打つことを目指します。
つまり、**「起きた故障に反応する」のではなく、「起きる前に先回りする」**考え方です。
これが、産業用ロボットにおいて予防保全を選択することが賢い判断とされる主な理由です。

1. 突発的な停止を防ぐ
故障の兆候を早期に発見できれば、生産に影響を与えないタイミングであらかじめ対応を計画できます。予防保全の介入は、負荷の少ない時間帯や、計画停止のスケジュールに合わせて実施することが可能です。
➡️ 結果:生産の連続性アップ、緊急対応はダウン。
2. 予防保全でロボット寿命を延ばす
機械部品や電子部品は、定期的な調整と潤滑が行われていれば、摩耗や劣化が大幅に軽減されます。
その結果、ロボットの稼働寿命が延び、新しい設備への投資時期を後ろ倒しにすることができます。
➡️ 減価償却の負担を軽減し、収益性を向上。
3. 長期的なコストを削減
重大な故障が発生すると、多くの場合は次のような事態が発生します。
- 部品の破損
- 緊急対応の発生
- 生産ラインの停止
- 製品品質への悪影響
➡️ 適切なメンテナンスを行うことで、こうしたリスクを未然に防ぐか、最小限に抑えることができます。
4. プロセス品質を安定させる
ロボットが正しくキャリブレーションされ、偏差やズレが抑えられていれば、その位置決め精度と繰り返し精度は安定して保たれます。
これはすなわち、製品品質の一貫性と、手直し・返品対応の削減につながります。
➡️ エラーは減り、プロセス効率は向上。
5. 運用安全性の向上
動作不良のロボットは、「動かない」だけの問題ではありません。時に、人や設備、工場全体の安全を脅かすリスクにもなります。
予防保全により、ロボットがメーカーが定める安全パラメータ内で動作していることを確認できます。
➡️ より安全な職場環境、トラブル・インシデントの減少。
産業用ロボットのメンテナンスは、余分なコストではなく、
長期的な生産性・安全性・効率性を守るための戦略的な投資です。
ITS TECHでは、お客様のニーズ、現場環境、ロボットの種類に合わせたカスタマイズメンテナンスプランを設計します。
私たちは、故障が“起きてから”ではなく、起きる前に兆候をつかむことに注力しています。お客様には「生産に専念していただくだけ」です。
ITS TECHの産業用ロボット保守プラン
ITS TECHは、ロボット1台1台・現場ごとの特性・プロセスの違いをよく理解したうえで、実際の生産ペースに合わせたオーダーメイドのメンテナンスプランをご提案します。
当社の産業用ロボットメンテナンスサービスは、次のことを目的としています:
- 故障が顕在化する前に予兆をとらえ、防止する
- ロボットの性能と稼働寿命を最大化する
- 計画外停止と、その裏に隠れたコストを回避する
- 生産プロセスの品質と精度を維持・向上する
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